
カウンセリング入門 1
カウンセリングの基礎 入門編 加藤元久監修
1.カウンセリングの定義から、その本質を学ぶ
(1)カウンセリングの定義
★カウンセリングとは、言語的・非言語的コミュニケーションを通し
“行動の変容”を試みる人間関係である。 (国分康孝)
★個人との継続的・直接接触で、その個人を援助して、行動・態度の変容を図る
(ロジャーズ 1942年)
●カウンセリングの目標は、 「行動変容」である。
カウンセリングは援助行動(相手を助ける)である。
その「援助」は、相手の行動変容への援助である。
そのために、「共感」し、「理解的態度」を示すことが必要となる
(2)行動変容の定義Ⅰ
:行動変容とは、状況や他人からの刺激・働きかけに対する「反応・対応」の仕方に多様性(色々な)が出てくること。即ち、今までとは異なる
反応・対応の仕方を学習(習得)すること。「反応・対応」とは、状況や他人からの刺激・働きかけに対しての「その状況に適した行動・発言、
その基盤となる考え方・状況解釈の仕方」のこと。
(3)行動変容の定義Ⅱ
:別の視点から行動変容を表現すると、以下のようになります。
1)現在持っている症状(不適切な心・問題行動・誤った状況認知)を無くすこと。
これは、治療的行動変容といい、対応するカウンセリングは、“治すカウンセリング”です。
2)今までになかったものが顕在化すること。 (前提:人には多様な能力が潜在している)
これは、⇒発展的行動変容といい、対応するカウンセリングは、“育てるカウンセリング”です。
例: 職場の先輩に仕事の不手際を指摘された。 (開発的カウンセリング)
⇒従来の反応:「私、職場の先輩にいじめられています」 ⇒「会社辞めたい」
⇒変容後の反応:「私の未熟な点を教えてくれる」⇒「助かる」⇒「職場が充実している」
(4)援助とは
コミュニケーションを通して行われ、カウンセラーは以下の観察視点を持ちます。
観察視点1:外的発言内容と声の調子 ⇒内容の理解とその意志の強弱
観察視点2:外的立ち居振る舞い(身体の動き、表情など) ⇒言外の意味・意図、即ち
観察視点3:心の意味(①感情・②欲求・③思い・④抱える問題や悩み)
以上の観察視点は、カウンセラーによる“クライアントの理解”につながる。
(5)二人の間のコミュニケーションとは
基本的には「対話」を意味する。対話を効果的にするために、カウンセラーは、対話の技法を習得することが求められる。即ち、カウンセリングの 技法とは、コミュニケーション=対話を効果あらしめる技能(スキル)のことである。そこで、カウンセリングの形態である「二者間のコミュニケ ーション」をカウンセラーの立場で表現すると、
1)観察視点の立場では「きく」に集中することからスタートする。加えて、
2)自分の意図・意思・理解の内容などを「伝える」ことも必要となる。
★コミュニケーションを有効・的確にするには、両者の間に「リレーション:信頼に基づく人間関係」が必要となります。リレーションづくりの 基礎となるのが「カウンセリング・マインド」です。